新之介文庫だより

2018年11月10日
近詠・句歌都々逸31

 

鉛筆を 削り昨日に 悶絶す

 

野の仏 改心約す 初時雨

 

滔々と 道行く先に 宵の星

 

「道路案内を見て」
港北は 我若き折住みし丘 鳥の声聴き 偲ぶ往時を

 

「川和高校建設」
川和なる 学びの舎造りしは 我19なる 若きその頃

 

来てみれば 浜の歴博面白き 子等の歓声 あちこちに飛ぶ

 

海隔て 磯に波寄る故郷は 思い出霞み 今や不帰の地

 

故郷の 空懐かしや カモメ舞う

 

セーターを 出して去年への 辿り旅

 

熟し柿 次の逢瀬を 急き立てる

 

忙しや あら忙しや 枯尾花

 

妄想す 設計昇華 時間軸

 

何時までか 止まぬ設計 富士に雪

 

黒椿 想いの君に 会いにけり

 

浄々の 気を研ぎ澄まし 線を引く

 

夜空駆け 構想君に 伝えたし

 

赤い橋 紅葉は招く 彼の岸へ

 

紅葉狩 グラデーションの 君を観る

 

掌をとりて 妖しや闇に 夢の中

 

茶を点てて 熱き静寂に くちづける

 

 


2018年11月10日