イベント情報
10月19日(日)に行われるお茶会は、小野田雪堂氏を偲ぶ茶会です。
文人だった雪堂氏は、生前多くの人に影響を与え、80歳で生涯を閉じました。
私も謦咳にふれた一人ですが、多くのことを学びました。
印象深かったのは、人の生きる道でした。
人の生きる道は自分では決められず、先の戦争体験をされた方たちは辛い過去の記憶が残されていました。
氏は、戦争を起こさせない世の中を作るにはどうすればよいのか、の問いに。
「攻められないように、堅固な守りと、強靭な外交が要る」、と言われていました。
自分の進みたい道も諦め、国のためにと戦争に身を投じた時代の人でした。
「美しく死にたい」との言葉を遺して、9年前に亡くなりました。
氏は70歳の古希を迎えた折、一篇の漢詩「古希偶成(こきぐせい)」を詠みました。
独り書を書くことで生きてきた
戦後、自分は清貧の生き方をしてきたつもりだ
現在の心境を若し問う人がいれば
私はこの生き方をしてきた私の癖を愛すという
この詩には「猿候捕月(えんこうぼげつ)」というエピソードの絵が描かれています。
猿が池に映った月(悟り)を捕ろうとして池に落ちるという故事に倣ったものです。
雪堂先生の境涯を現して余りある画賛です。
私も来年は古希。漸くこの詩意が理解できるようになった気がしています。
お茶会当日、この掛物も掛け、先生の当時の心境を偲びたいと思っています。
「新之介さん、悟りは無いことが解ればいいですよ・・・。」
雪堂先生を偲ぶ時、いつも可々と破顔大笑した姿が浮かんできます。
ご縁のある皆さまと錦秋の一会を過ごすことを楽しみにさせて頂きます。
画像: 「猿候捕月」小野田雪堂 画賛