新之介文庫だより

2017年10月29日
近詠・句歌都々逸Ⅷ

 

今ここに あるはずのない 虹の橋

 

この橋を 掛けたは誰ぞ 神仏

 

冬鏡 セーター姿 映し笑む

 

夢で逢えると 思うて眠る 白い椿の その側で

 

熱海湯けむり 指さす先は 見えぬ時雨が 濡れかかる

 

不倫咎めて 騒いでみても 出来ぬ我が身の 怨み節

 

初時雨 濡れる面影 湯のけむり

 

茫然と 雨後の苔庭 若紅葉

 

今日も冬 花なき露地に 小糠雨

 

炉開きや 青竹の色 白椿

 

あの時は 霧雨の中 傘の中

 

面影に 歳を重ねて 缶ビール

 

設計の 淋しさに耐え 脚を揉む

 

今日は今日 明日は明日と 散る銀杏

 

泣いて別れた ばかりというに 肘ブラはしゃぐ 身の軽さ

 

グッと引き寄せ チークで踊る「さてこの後は・・」思い思いの ものがたり

 

「伴侶ってね、、、」昔ゃ夫か 妻だったのに 今じゃスマホか 紙オムツ

 

紅葉狩して 湯船に浸かりゃ この後思い紅くなる

 

月の夜道を 悶えて歩く 触れる指先 かかる息

 

この頃は 燃える間もなし 初時雨

 

 

写真:美しさの緊張感が漂う 国の記念物「神仙郷・苔庭」(箱根強羅)

 

 


2017年10月29日