新之介文庫だより
新之介文庫の佐々木です。
コンクリートの打設が終わり、コンクリートの強度を見ながら型枠の支柱を順次外していきます。
厳密には、打設の日より4週間経ったときの強度が基準となります。水晶殿は良好なコンクリートが打たれました。
それに放射能測定も一緒に。
何の問題もありませんでした。そして2012年1月27日午前11時、上棟式が執り行われました。当日は冬の澄み渡る青空のもと、玄関前の外部に祭壇を設け、「神事」を行い、そのあと古式に則った工事関係者による「上棟の儀」。
参列者全員で棟木を紅白の綱で曳き上げる「曳き綱の儀」と、その棟木を打つ「棟木打ち納めの儀」そして「四方餅撒」が行われました。
「千歳楽、萬歳楽、永々棟(曳々棟)という、奉行役の太田の掛け声が瑞雲郷のなかに大きく響き渡ると、竹中工務店の山本所長が合図し、屋上に上がった現場主任の関口さん、協力会社代表の海野さん、設備工事の日管の佐々木さんが木槌で「オー、トー」と声を上げ、棟木を打ちました。
すると参列者が全員で、「よいしょ、よいしょ」と綱を曳きます。この光景を見て、胸が熱くなり心が洗われました。いろいろなことがありましたが、晴れての上棟式。
施主さんをはじめ担当者チームのみなさん、参列者の工事関係者のみなさん、皆晴れやな笑顔でした。
5月の完成までの厳しい工期に向け、新たな決意を関係者全員が誓う一日でした。
太田はこのとき、水晶殿の細部デザインに取り組み、悩んでいました。
エッチング、錺金具、照明器具、壁仕上げの緞子、そして付属棟の用途など、なかなか決まらない。
それをこの日を境に、提案していたデザインを別のものに変えました。
造営主岡田茂吉師のデザインされた美しい意匠をもとにしたのです。
長澤責任役員の助言があったとのことでした。勿論、皆さんは異論はありません。
太田は、「それにしても茂吉師の芸術性と品格の高さには驚くばかり…」と言っていました。
このような経緯で、水晶殿の一連のデザインは決められ、名工たちの手により作られて行くことになりました。
上棟は骨格が出来上がった折り返し地点、ここから仕上げの工事が始まります。
(写真上4枚 水晶殿上棟式 提供 (株)太田新之介建築事務所)
(写真下 箱根美術館応接の間 欄間「瑞雲」部分 デザイン岡田茂吉)