新之介文庫だより
新之介文庫の佐々木です。
改修前からの、もう1社が、円形サッシュを担当した沼津市の日本鋼機工業株式会社。
日本鋼機さんは30数年前に、円形サッシュの改修製作を手掛けています。
創建当時のサッシュは鉄製でアクリルガラスで、しかも全面開放型でした。
それを改良し、ステンレス製でガラスで作りました。太田はその時の設計監理も担当しました。
水晶殿は、展望室として建てられた側面があります。したがって眺望の素晴らしさは、格別です。
反面、自然環境に対する備えも考えておかなければなりません。台風をはじめ、風雨に耐えるためのいくつかの工夫が必要とされます。
改修前にも、この課題はありました。しかし時間の経過とともに、スムースな開閉に、支障が出て来ました。これはサッシュそのものだけに起因するものではなく、床面の一部沈下などもありました。
この調査と研究に参加した、日本鋼機の植松さんと、建築家は何度も意見交換を重ねました。
結果、ステンレス製で、創建当時のアクリルガラスが採用されました。
改修工事が開始することが決定し、施工図の検討、製作工場の検査、現場での取り付け作業、完成後のメンテナンス。当然と言えば当然と言える、一連の工程に、黙々と取り組む植松社長の姿勢が・・・。
この円形サッシュは、タテ×ヨコの寸法の比率が考えられて作られています。
それは創建当初からで、半円周を7枚で構成し、1枚の幅は約5.1メートル、高さは約2.4メートル、その幅が3枚のアクリルガラスで構成。
1枚のガラスの幅1.56メートル、高さ2.2メートル、1対ルート2の比率。これは、五対七の白銀比といわれるもの。
日本で古来から伝わっている技法が、ここでも使われている。
取り付けが終了し、一気に開放された空間は、相模の海が一層素晴らしく映りました。
今年の夏はこのホールで熱海の花火大会を観ることができるようです。
(写真 サッシュを開放した水晶殿円形ホール PHOTOS BY ヒロ・フォトビルディング )