太田新之介作品集
2013年2月5日
作品-7 絵画
造作余話
何時の頃から絵を描くようになったのか記憶が定かではない。多分、子供の頃から描いていたものが、ある時から進んで描くようになったのだと思う。
ある時とは、近所に住む小父さんにホメられた時だ。漁師の小父さんは絵と書が上手く、あこがれていたことを覚えている。
その小父さんがホメてくれえたのだ。ホメられて伸びるタイプの私は、その頃から絵筆を執るようになった。
仕事柄、画家や書家、イラストレータやデザイナーと一緒に仕事をすることが多い。自身の仕事も絵描きのようなところがある。それが昂じていつしか表具をされるようなっていた。自身は唯の手すさびで描く絵や書なのであるが、部屋に掛けられ、床の間に掛けられるようになり、個展をするようになると、これはそのレベルのものを描かなければならないと思うようになった。
書は絵を呼び、書画は篆刻を呼び、書画、篆刻は詩歌を呼ぶ。何時しかこれらで自分の今を表現することを楽しみとするようになったようである。
この10年ほどは、設計に向かう精神の起伏が大きい時に、また人との交会の濃き時に、絵筆を持つようになっている。
絵は私が生きてきた時間が、折々に結晶した模様かもしれない。
余技は生業と違い報酬がともなわない分、心穏やかな作業となる。その内にヨボヨボになり、何を描いているいるのか分からなくなる、それが楽しみだ。
(作品上 「お雛さま」 31.5×34.0 紙本軸装 2000年作)
(作品下 「青不動」 111.0×35.0 紙本軸装 2000年作)
2013年2月5日