新之介文庫だより
2013年6月27日
『水晶殿改修記』-27 放射能対策
新之介文庫の佐々木です。
工事再開後の重要な対策として、放射能について前回触れました。
福島で発生した原発事故の影響が、思わぬ波紋を呼んでいたのです。セメントに放射能汚染の下水汚泥焼却物が混入している可能性が高まっていたのです。
建設工事では、コンクリートのほか随所にセメント製品が使用されます。
この建物の目指す、目的から考えても、十分な配慮が必要です。
水晶殿の工事では、現場でコンクリートを打つ際、生コン車から直に採取し測定、そしてマンホールなどの工場生産の製品は据え付け前に行う等々、専用の測定機器を使うことと
しました。
竹中工務店は現場に測定器を備え、日管は専門の測定会社に依頼しその都度計測することになりました。
この動きは、その後全国の建設工事の現場でもやりはじめ、ここがその先駆けとなったようです。
測定の結果はいずれも「問題なし」。
測定結果にともかく安心、しかし、まだまだこの先も難題があるかも・・・。
建築家は、「完成後に再測定をしてみます。そこで放射能が検出されたら、再度建物を壊して作り直すこともありますから」
と、施工関係者に伝えました。
設計監理側がその都度、測定に立ち会ったことはいうまでもありません。
完成後の測定を終え、「良かったなぁ!」と、皆で胸をなでおろしたものです。
改めて、目に見えないものほど恐ろしいものはないと思ったものでした。
工事は順調に進みだしました。
(写真 検査済みのコンクリート打設 基礎補強工事 )
2013年6月27日