イベント情報
2017年8月1日
耕心茶会
「太田さん、貴方は創造して行くことが仕事です。何時も心の田んぼを耕し、世の中のお役に立つよう生きて行って下さい。」
太田洞水(とうすい)老師はそういって一枚の書を渡してくれました。
一年半通った坐禅会を仕事の都合で辞めることになり、お別れの挨拶に行った折のことでした。
半切に書かれた書は「唯耕心田(ただしんでんをたがやす)」。
一心に心の田んぼを耕せ、終生自分を磨いて行け、というものでした。
以来、私はこの一言を頼りにして建築の設計に勤めてきたように思います。
現在に至ってもこの境涯に変わることはありません。
先日、洞水老師が書かれた、同じ「耕心田(しんでんをたがやす)」を掛けて、秋にお茶会をしたいと友人の柴山崇志さんが掛軸を携えやってきました。
彼は修善寺の旅館「柳生の庄」の調理長で、この度の試みは旅館のためだけにとどまらず、茶の湯の文化を発信するに相応しい催しと思い、できることがあれば、と協力することになりました。
私にとっては老師と毎年会える楽しみが増えるというものです。
「耕心茶会」は10月9日(月)体育の日です。
老師の法を継いだ修善寺の吉野真常老師が参席し、併催で陶芸家の佐々木泰男さんの陶芸展、シンガーソングライターのきどよしえさんのライブもあります。
40年前、仕事の悩みから始めた坐禅が、老師との出会いを創り、私を禅の世界に導き、それが禅宗寺院や宗教建築の仕事に縁を結び、そして茶の湯へと誘われた…。
人生に妙味があるとすれば、それは邂逅に他ならないようです。
邂逅は人生の最大事です。
2017年8月1日