新之介文庫だより
2012年10月15日
『水晶殿改修記』-3 強固な地盤
新之介文庫の佐々木です。
強固な地盤の上に建っているのは、ここ水晶殿。
幾多の地震をくぐりぬけて来ましたが、この瑞雲郷一帯は「安山岩」の上にあります。
とくに水晶殿は日本列島の地層基盤となる「玄武岩」が建物直下までせりあがってきています。
水晶殿はこの上に敷地を整備し、段々畑だった斜面は隧道から掘り出された土石を盛り土としています。
水晶殿の北の背後には安山岩で造られた「月の形」の石垣があります。もちろん瑞雲郷の中には、この高度な手仕事を遺している古い石垣はまだまだあります。石積みの技法を見ると、時代を感じるものがあります。
そして、敷地の高さをどのくらいにするかは、隧道の中心線との平面的位置、高さ、水晶殿の床の高さとの関係、など諸条件を加味して造れらています。
雨水が流れれば・・・などという素人とはちがった、これこそ造営主の卓越した見識だと思います。
それは、水晶殿の円形ホールに坐ってみると、自分が宙に浮いているように感じ、これはその高低差にあると思えるからです。
お客様を迎える「応接室」として、 最高の眺望を用意されたのでしょう。
建築家・太田新之介はこの建物ついて、「水晶殿は建築物であるが、それだけにとどまらない建築だ」といっています。
きっと、何かを感じての上なのでしょう。
(写真 2012・6月 完成写真 左上奥はMOA美術館)
2012年10月15日