新之介文庫だより
2012年1月4日
『水晶殿』-30 美しき波動
新之介文庫の佐々木です。
現代建築は、人をして美しいと感じさせるものから遠ざかっている。
建築は、技術革新や、文化芸術を孕んだ時代の先端である。
その現代建築に欠けているもの、それは「美しさへの憧れ」だ。
「美しき波動」を発する建築が少なくなってきた。
建築家は多くの人々の心の底に、美しい波動を送ることを願い、
依頼主(造営主)の本意に応え、その志向を定め、天地の意思に背かず、
与えられた人、財、材、時を結集し、人々の人心教化に寄与せんとし、
一連の行為を目指す・・・。
「どのような建築であっても、人が涙するような美しいものを造りたい」
著者は三十数年を経て、ここに、ひとつの回答を自分に語りかけた。
建築家は、依頼主の願いに適うべく用意された、美しい使徒では、と。
2012年1月4日