日本のすがた・かたち
2017年6月3日
ウメボシジジイ
今は亡き90歳のお婆さんに教えて頂いた梅干し作りは、今年で30年余。
梅は南高梅が一番果肉が厚く良いようで、10年ほどこの梅を使っています。
今年も何人もの梅干し好きが待っていれているので気合が入るというものです。
作り方は秘密にするほどのものではないのですが、聞かれても、「秘伝だ!」といってもったいぶって教えないことにしています。
お婆さんが「わしゃ、もう梅干しババアになったのでアンタに教えるから」といっていたこともあり、私もウメボシジジイになって、もう作れなくなるまで伝授しないことにしています。
梅が熟す直前まで箱に入れておき、樽に移してから10キロに対し粗塩0.8キロ。
この減塩ものが特色です。
ところが、これだと確実に黴るのでここからが一工夫。
梅酢が上がったら塩もみ保存の赤紫蘇を入れ、梅に色が付くまで待っています。
土用の炎天下の早朝から干して、夜には取り込み、ここからが秘伝です。
「三日三晩の土用干し」とは先人の言葉。
当を得た教えだったと思います。
梅干しは縄文の昔から食していた可能性があります。
遠い先祖が作っていた姿を思い浮かべ、それが工夫に工夫を重ね今日に至っていると思うと、奥ゆかしさが目に見えてきます。
さあ、ウメボシジジイを目指して。
梅干しや オババ伝授の 新しき
伝統とはこのようなささやかな生活ではないかと思っています。
写真:今日の南高梅と去年の干し風景
2017年6月3日